SF

「グラスハートが割れないように」小川一水

ニセ科学的なものを元ネタに、二人の恋人の成長物語なんですが、作者が言いたいことは、それよりもニセ科学的なものを巡る社会の動きとその収束を描きたかったのではないかとおもう。

「終わりの日」"The Last Day" リチャード・マシスン 安野玲:訳

『地球最後の男』など、終末物で有名なマシスンの極めて感動的な終末もの。世界が終わるときに、どう終わりを迎えるのか? 結局男の発想としては、母性に包まれて迎えるしかないと言うわけです。

「父さんもどき」"The Father-Thing" フィリップ・K・ディック 大森望:訳

ボディースナッチャーVS.子供。アメリカの赤狩り時代の狂想。

「ひる」"The Leech" ロバート・シェクリイ 浅倉久志:訳

寓話的な面白さは、いささか古い感じもするけど、”ひる”の存在が面白く、オチも効いているし、恐さもたっぷりある。

「初めの終わり」"The End of the Beginning" レイ・ブラッドベリ 中村融:訳

ブラッドベリのライトサイドを恥ずかしげもなく出した作品。しみじみといい。

「現実創造」"The New Reality" チャールズ・L・ハーネス

訳:中村融 難解だが、人の認識によってのみ世界が作られているっていう不確定で不安なところをうまく小説にしていると思います。特にラストよって、今の自分のリアルと、小説内のリアルが逆転してしまう感じもすごい。

「昨日は月曜だった」"Yesterday Was Monday" シオドア・スタージョン

訳:大森望 『20世紀SF 1 1940年代 星ねずみ』編:中村融&山岸真 河出文庫 所収 ハリー・ライトはある朝目が覚めると、今日が水曜日であると言う実感を得るのだが、同時に昨日が月曜日だったと言う印象も得る。いったい火曜日はどうしてしまったのだろうと…

「ベムがいっぱい」"Wacky World" エドモンド・ハミルトン

訳:南山宏 僕自身の好きなタイプの物語、SF的だったり、怪奇的だったり、幻想的だったりするものが好きな理由の原点には、小学生のときに体験した4っつの作品の影響が大きく今に残っているからだと思います。一つめは光瀬龍の『作戦NACL』です。それ以後眉…

「消されし時を求めて」"The Search" A・E・ヴァン・ヴォート

訳:伊藤典夫 『宇宙船ビーグル号』や『非Aの世界』で有名なA・E・ヴァン・ヴォート(A・E・ヴァン・ヴォクト)の作品は初めて読みます。奇想で知られる作家なので期待して読んだ。 なるほど単なる時間SFでは終わらず、「蓋然世界」とか「不死宮」とか、そ…

「生きている家」"The House Dutiful" ウィリアム・テン

訳:小尾芙佐 家はまさにいきているかのような家で、いわゆるお化け屋敷的な怪談のような感じで始まるのだけど、さすがSF作品だけあって、後にあっと驚く展開をもってくる。それも個人的なレベルの問題だけでなく、全世界を巻き込む辺りも面白い。怖さも怪談…

「美女ありき」"No Woman Born" C・L・ムーア

訳:小尾芙佐 絶世の美女といわれた、歌手でありダンサーであるディアドリは劇場の火事によって命を奪われたかに思われたが… という話し。 テクノロジーが進歩して行く中で、そのテクノロジーの影響で人間がどう変化して行くか? あるいはそれとどう対応して…

「鎮魂歌」"Requiem" ロバート・A・ハインライン

訳:白石朗 月へ行くことを少年時代から夢見ていた一人の老富豪の話し。まあまでした。

「万華鏡」"Kaleidoscope" レイ・ブラッドベリ

訳:安野玲 『20世紀SF 1 1940年代 星ねずみ』編:中村融&山岸真 河出文庫 所収 ブレッドベリらしい素晴らしい作品。ダークでロマンティックなSFの妙。 流星群とともに宇宙を旅することになったストーンのエピソードを読んで、ジョン・カーペンター監督、ダ…

「AL76号失踪す」"Robot AL-76 Goes Astray" アイザック・アシモフ

訳:小尾芙佐 アシモフのロボットもの(陽電子ロボットシリーズ)です。 ロボットって何故か愛らしい存在として描かれることが多い気がする。これもそんな感じ。 削岩機で消去された山の後の状況が想像できなかったけど、まあまあ面白かったです。

「時の矢」"Time's Arrow" アーサー・C・クラーク

訳:酒井昭伸 今読むと途中でオチが見えてきてしまうけど、これが60年近く前に書かれていたと思うと面白い。 現在進行形の時間と過去の時間が遭遇するかのような展開が巧い。

「星ねずみ」"The Star Mouse" フレドリック・ブラウン

訳:安野玲 「星ねずみ」は1942年に発表された短編。ちょっとイカレかけた博士とねずみと異星人の話し。 ここで起こった事件は、一見壮大でありながら、全て閉じているわけで、本書の解説にある通り「現代のおとぎ話」と言える作品だった。 これは新訳になっ…