「星ねずみ」"The Star Mouse" フレドリック・ブラウン

訳:安野玲
「星ねずみ」は1942年に発表された短編。ちょっとイカレかけた博士とねずみと異星人の話し。
ここで起こった事件は、一見壮大でありながら、全て閉じているわけで、本書の解説にある通り「現代のおとぎ話」と言える作品だった。
これは新訳になっていて、手元にあるサンリオSF文庫フレドリック・ブラウン傑作集』の星新一訳と新訳の安野玲訳と最後の文章を比べてみる。(以下完全ネタバレ)

「元気でな、ミッキー。おまえ、このほうがしあわせだろうと、わたしは思うよ。チーズはいつでもやるからな」
「チュウ」
 と小さなねずみは鳴いて、穴の中に飛びこんだ。たぶん「お元気で」という感情の表現なのだろうが。


サンリオSF文庫フレドリック・ブラウン傑作集』所収 「星ねずみ」星新一訳より

「しゃらばだ、ミッキーくん。いや、これでいいのだ。チージュならいつでもあるからな」
「チュチュ」灰色ねずみは一声鳴いて、穴に飛びこんだ。
 ひょっとしたら「しゃらばだーー」といいたかったのかもしれない。


『20世紀SF 1(1940年代)』所収 「星ねずみ」安野玲訳より

格段に訳が良くなっています。感動もアップです。