作品

「グラスハートが割れないように」小川一水

ニセ科学的なものを元ネタに、二人の恋人の成長物語なんですが、作者が言いたいことは、それよりもニセ科学的なものを巡る社会の動きとその収束を描きたかったのではないかとおもう。

「7C」"7C" ジェイソン・ロバーツ"Jason Robarts"/府川由美恵 訳

脅迫性障害の現れ方を天文学を、ネタに描く事で幻想的なミステリに仕上がっている。でも私には難解。

「アン夫人の寡黙」"The Reticence of Lady Anne" サキ

訳:中西秀男 ちょっとしたネタの小品だけど、それにうまく家で飼われている猫と鳥を絡めて書いているところがミソ。

「電話番号」 The Telephone Number アイザック・アシモフ

『ユニオン・クラブ綺談』アイザック・アシモフ 創元推理文庫 所収 たった一言添えられた言葉から導きだされた答え。うまい。

「逃げ場なし」 No Refuge Could Save アイザック・アシモフ

『ユニオン・クラブ綺談』アイザック・アシモフ 創元推理文庫 所収 短い小説ながら、しっかりとしたパターンで作られたシリーズになっていると思う。この話はアメリカ国民でないと面白さ半減であろうが悪くない。

「幽霊船」 横田順彌

『押川春浪回想譚』横田順彌 出版芸術社 所収 幽霊話なのに因果関係とかはっきりさせすぎて怖さを感じさせない話になってしまったかな。ベタすぎて不思議さもいまいち。

「心あたたまる記事」A Good Little Feature

M・C・ブラックマン M. C. Blackman 『世界ショートショート傑作選1』 編:各務三郎 講談社文庫 所収 残酷な話。記者が無責任すぎ。

「危険な曲り角」Around Any Turn

ジム・ボズワース Jim Bosworth 『世界ショートショート傑作選1』 編:各務三郎 講談社文庫 所収 オチは予想が付きやすいが、アイディアはまあまあ。だけど、締め方が弱いかな。

「死刑囚監房」Peter Fereney's Death Cell

W・P・マッギヴァーン W. P. McGivern 『世界ショートショート傑作選1』 編:各務三郎 講談社文庫 所収 面白いのだが、シニカルすぎる。素直すぎてシニカルって。

「チェックメイト」Checkmate

サミュエル・W・テーラー Samuel W. Taylor 『世界ショートショート傑作選1』 編:各務三郎 講談社文庫 所収 短くても文学的な作品だと思う。意外な結末や、恐怖だけがショートショートでない好例。

「とんだ災難」I Never Felt Better ジェームズ・M・アルマン James M. Ullman

『世界ショートショート傑作選1』 編:各務三郎 講談社文庫 所収 ジョン・コリアの短篇に似たような作品があったような。そちらの方がうまかったかな。

「五人目の客」Fifth Head G・G・フィックリング G. G. Fickling

『世界ショートショート傑作選1』 編:各務三郎 講談社文庫 所収 タイトルが引っかけになってる。

「失礼、番号ちがい -ではありません」Sorry, Right Number チャールズ・アインスタイン Charles Einstein

『世界ショートショート傑作選1』 編:各務三郎 講談社文庫 所収 古い電話のシステムを使った小品。悪くはない。

「走れ、ウィリー」Run, Willie Run ヘンリー・スレッサー Henry Slesar

『世界ショートショート傑作選1』 編:各務三郎 講談社文庫 所収 各務三郎が解説で引用している、リチャード・バーブライトによるシュートショートの定義。「…物語のなかに閃光の人生をかいまみせながら…」というのを代表する作品ではある。

「殺人者」The Killers アーネスト・ヘミングウェイ

『世界短編傑作集4』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 ここからハードボイルドの文体が始まったと言うのと、殺し屋のプロトタイプが生まれたと言う歴史的価値云々を知っていないと、少し面白みに欠けるが、殺し屋とのやり取りや、静かに自分の運命を受け入…

「完全犯罪」The Perfect Crime ベン・レイ・レドマン

『世界短編傑作集3』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 動機が自尊心を守るためと言う点が、極めて凶悪なのではないかと思わせる。これも探偵物のセルフパロディのような物?

「夜鴬荘」Philomel Cottage アガサ・クリスティー

『世界短編傑作集3』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 何となくアンフェアな感じがしなくもない。

「二壜のソース」The Two Bottle of Relish ロード・ダンセイニ

『世界短編傑作集3』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 これぞ「奇妙な味」ともいうべき大傑作短篇だと思う。だれも小屋の中を覗き込もうとしなかった、という矛盾点があっても、傑作には変わりない・

「ボーダー・ライン事件」The Border-Line Case マージェリー・アリンガム

『世界短編傑作集3』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 シンプルであるが故に面白い。

「イギリス製濾過器」English Filter C・E・ベチョファー・ロバーツ Carl Eric Bechhofer Roberts

『世界短編傑作集3』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 そもそも、フタの無い(開けっ放しの)濾過器というのが今では想像しにくい。動機も殺さなくてはならないほどではないのでは?

「密室の行者」Solved by Inspection ロナルド・A・ノックス

『世界短編傑作集3』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 奇想的にも関わらず、シンプルな作品で面白い。

「偶然の審判」The Avenging Chanceアントニイ・バークリー

『世界短編傑作集3』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 有名なミステリ『毒入りチョコレート事件』の元になった物らしい。その『毒入り…』は未読なのだけど、何人もの探偵がいくつもの推理を展開してみせる構成で、ミステリのパロディというか、アンチミステ…

「茶の葉」The Tea Leaf エドガー・ジェプスン & ロバート・ユーステス

『世界短編傑作集3』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 これも小学生のころに、読んだ推理クイズの本に載ってた。話しとしては面白いのだけど、尖ったドライアイスを胸に差し込むには無理がありすぎる。それにドライアイスをポットに入れてたら、中で気化し…

「堕天使の冒険」The Adventure of the Fallen Angels パーシヴァル・ワイルド

『世界短編傑作集3』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 実話を元とにしているせいか、結構面白い。しかしトニイがあまりに浅はかすぎる。

「キプロスの蜂」The Cyprian Bees アントニー・ウイン

『世界短編傑作集3』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 最初の推理に厳密さが無さ過ぎ、犯人も複数同じ方法で殺して、事件性を疑われたらすぐに足がついてしまう。でも、まあまあ良かったかも。

「窓のふくろう」 The Owl at the Winodw G・D・H・コール & M・I・コール

『世界短編傑作集2』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 無理があり過ぎでは、「窓のふくろう」というタイトルもあまり生かされてない。

「急行列車内の謎」 Mystery of the Sleeping Car Express F・W・クロフツ

『世界短編傑作集2』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 極めて簡潔に書かれているが、状況を穴の無いようにしっかりと説明するのに、かなりのページ数を取られている。そのわりには驚くほどのトリックではないのでな少し物足りない。

「ブルックベンド荘の悲劇」 The Tragedy at Brookbend Cottage アーネスト・ブラマ

『世界短編傑作集2』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 三篇連続で機械トリックのネタ。自分はつくづくこういった、物理トリックには興味が無いことがわかった。だけど、ラストに意外な展開が待っていて(今となっては古典的なネタだけど)それは面白かった。

「好打」The Sweet Shot E・C・ベントリー

『世界短編傑作集2』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 とにかくゴルフ用語が沢山出てきてそれらの解説が無いので(新版にはあるかも)途中の経過がわからないことばかりだった。

「ギルバート・マレル卿の絵」Sir Gilbert Murell's Picture ヴィクター・L・ホワイトチャーチ

『世界短編傑作集2』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 子供のころ、推理クイズの本が大好きで何冊も読んでいた。その手の子供向けの本は有名なミステリからネタを持ってきている物が多く、ネタばらしの被害にあっていた。この作品も子供のころに既に知って…