作品

「オスカー・ブロズキー事件」The Case of Oscar Brodski R・オースチン・フリーマン

『世界短編傑作集2』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 『刑事コロンボ』などで有名な、いわゆる倒叙推理物です。探偵役のソーンダイク博士が科学的な捜査を駆使して犯人を捕まえるのだけど、都合の良い偶然(兇器の発見とか)があったりしたので少し物足り…

「ズームドルフ事件」 The Doomdorf Mysteryメルヴィル・D・ポースト

『世界短編傑作集2』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 トリックがどうのと言うより、開拓時代のアメリカっぽさと、キリスト教的な考え方や、土俗的な考え方が色濃く作品無いに流れていて雰囲気を作っていていい。

「奇妙な跡」Die Seltsame Fahrite バルドゥイン・グロルラー

『世界短編傑作集2』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 障害のある病人が関わっているある意味タブーなミステリといった感じ。親切心を逆手に取った凶悪な事件である。

「赤い絹の肩かけ」 L'Echarpe De Soie Rouge モーリス・ルブラン

『世界短編傑作集2』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 ルパンのちゃんとした作品を読むのはこれが初めてだった。かなり面白かった。ルパンのガニマール警部に対するライバル的な友情を逆手に取る、古典的ながらもすっかり騙されてしまった。

「放心家組合」 The Absent-minded Coterie ロバート・バー

『世界短編傑作集1』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 この小説はすごい。ラストの思わぬ展開、見事に探偵が負けてしまう話し。犯罪そのものも巧妙。 傑作だと言っていいできばえだが、ここに出てくる犯罪者(作中で明確に犯罪が立証されてはいないが)は、…

「十三号独房の問題」 The Problem of Cell 13 ジャック・フットレル

『世界短編傑作集1』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 これも小学校のころから名前だけは知っているが読んだことの無かった、「思考機械」と言われる人物の探偵物。なかなかお見事な脱出劇ではあるが、「どんな状況でも脱出出来る」というわりには、いささ…

「ダブリン事件」 Dublin Mystery バロネス・オルツイ

『世界短編傑作集1』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 小学校のころから名前だけは知っているが読んだことの無かった、「隅の老人」。解決もシンプルに決まっていて、出来がいいミステリ。 「隅の老人」と言えば昔読んだ、本で安楽椅子探偵と紹介されていた…

「医師とその妻と時計」 The Doctor, His Wife, and the Clock アンナ・カサリン・グリーン

『世界短編傑作集1』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 盲目の医師と美しい妻の悲しい愛の物語なのですが、何せ無駄に長い感じがしてしまう。

「レントン館盗難事件」 The Lenton Croft Robberies アーサー・モリスン

『世界短編傑作集1』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 無理目の犯罪をなかなかしっかりとまとめてあると思う。

「安全マッチ」 The Swedish Match アントン・チェーホフ

『世界短編傑作集1』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 いわゆる探偵小説のパロディのような作品。当時のロシアの社会がどのような感じかわからないので、状況がつかみにくかった。

「人を呪わば」 The Biter Bit ウィルキー・コリンズ

『世界短編傑作集1』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収 あり得ないほど間抜けなくせにプライドだけは異様に高い刑事。彼が捜査している盗難事件のトンチンカンな報告書から、事件の真相を読み取る警部の話し。コミカルな古典と言う感じだった。

「笑う肉屋」 The Laughing Butcher フレドリック・ブラウン

『まっ白な嘘』フレドリック・ブラウン 創元推理文庫 所収 トリック云々ではなく、不気味な肉屋の存在感とそれを取り巻く雰囲気の作り方がすばらしい。リンチというアメリカの暗部を扱った邪悪な話しと言う感じもするが。

「終わりの日」"The Last Day" リチャード・マシスン 安野玲:訳

『地球最後の男』など、終末物で有名なマシスンの極めて感動的な終末もの。世界が終わるときに、どう終わりを迎えるのか? 結局男の発想としては、母性に包まれて迎えるしかないと言うわけです。

「父さんもどき」"The Father-Thing" フィリップ・K・ディック 大森望:訳

ボディースナッチャーVS.子供。アメリカの赤狩り時代の狂想。

「ひる」"The Leech" ロバート・シェクリイ 浅倉久志:訳

寓話的な面白さは、いささか古い感じもするけど、”ひる”の存在が面白く、オチも効いているし、恐さもたっぷりある。

「初めの終わり」"The End of the Beginning" レイ・ブラッドベリ 中村融:訳

ブラッドベリのライトサイドを恥ずかしげもなく出した作品。しみじみといい。

「今年の生贄」"Victims of the Year" ロバート・F・ヤング Robert F. Young

ロバート・F・ヤングは好きな作家。西洋的な現代の寓話ってところかな。

「昨夜の魔女」"Yesterday's Witch" ゲイアン・ウィルソン Gahan Wilson

子供時代に戻って恐さを味わえた感じ。この作品が一番ハロウィンらしい小品かもしれない。

「万霊節前夜」"All Souls" イーディス・ウォートン Edith Wharton

古典的な怪奇小説。最後に突然、記述者の推測が入って終わるが、それも古典的でよい。 ただ、全36ページ中、29ページまで記述者である「私」が女性であることに気がつかなかった。なのでずっと男だと思っていた。これは気づかない私がバカなのか、作者がヘタ…

「輪廻」"The Circle" ルイス・シャイナー Lewis Shiner

面白い。このような永劫の時間を感じさせるタイプの話しは大好き。 タイトルが"The Circle"であるため、登場人物たちが永遠と同じことを繰り返すであることが暗示させられるのだけど、これは死よりも恐い状況だ。 しかし、原題"The Circle"を「輪廻」として…

「パンプキン・ヘッド」"Pumpkin Head" アル・サラントニオ

極めてありがちなパターンの話しではあるが、ムクムクと少女の顔が変形していく場面はかなりホラーで良い。

「死んだネコの事件」"The Adventure of the Dead Cat" エラリイ・クイーン

ハロウィンパーティーがどんな物かピンとこないせいもあるかもしれないけど、何かごちゃごちゃとして、状況がわかりにくい話しだった。クイーンの長編を読んだときにはそんな印象は一度もないので、これは訳が悪いのではないか? この作品に限らず、このアン…

「小鬼の夜」"Night of the Goblin" タルミジ・パウエル

いわゆる、「無垢に見える子供の犯罪」タイプの小説。剃刀の仕込まれたチョコバーを誰かが、食べてしまうのかと思いそれを想像するのが恐かった。作中では大事に至らずほっとした。

「吸血鬼の日」"Day of the Vampire" エドワード・D・ホック

ハロウィンはあまり関係ない話し。吸血鬼の正体もさほど面白いわけではないと思う。

「ハロウィーン・ガール」"Halloween Girl" ロバート・グラント

これも素晴らしい読後感の作品。悲しいがロマンティックである。さり気ないオチの付け方がいい。

「十月のゲーム」"The October Game" レイ・ブラッドベリ

ブラックすぎる。というか残虐すぎる。ブラッドベリは元々ダークなテイストを持っていてそこが魅力なのだけど、ここまで残酷なのは他にはないのでは? 自分が一番ん不幸だと思う父親のエゴイスティックな狂気に驚く。しかし、結末をはっきりさせない絶妙な終…

「ハロウィーンの殺人」"Trick-or-Treat" アントニー・バウチャー

ちと無理がありすぎる話しかな。訳が良くないように感じられるのは勘違いか?

「いまわしい異種交配」"Unholy Hybrid" ウイリアム・バンキアー

ありがちな話しではあるが、書き方がうまい。

「ハロウィーン」"Haloween" アイザック・アシモフ

ダイイングメッセージ的な内容の話しはよほど注意して書かないとわざとらしい物になってしまう。これはギリギリかな… プルトニウム=ハロウィーン(悪の勢力が広まる日)というところがうまい。

「空気の精」"Le Sylphe ou Songe de Madame de R" クロード=プロスペル・ジョリヨ・ド・クレビヨン

訳:鷲見洋一 空気の精(シルフ)と女性との恋愛についての会話。1730年ころはこういった会話がしゃれていたのでしょう。