「放心家組合」 The Absent-minded Coterie ロバート・バー

『世界短編傑作集1』編:江戸川乱歩 創元推理文庫 所収
この小説はすごい。ラストの思わぬ展開、見事に探偵が負けてしまう話し。犯罪そのものも巧妙。
傑作だと言っていいできばえだが、ここに出てくる犯罪者(作中で明確に犯罪が立証されてはいないが)は、現代でいう、認知症の老人などを狙った詐欺と同様で、社会的弱者を狙った卑劣きわまりない犯罪である。にもかかわらず、犯罪者(と思われる)側が、見事に勝利してしまうという最悪の展開。「奇妙な味」と言うより、「不快な味」である。なので読後感は最悪だが、それ故にあまり味わったことの無い作品であり、そこに引かれてしまうのかもしれない。
世界短編傑作集 1 (創元推理文庫 100-1)