「昨日は月曜だった」"Yesterday Was Monday" シオドア・スタージョン

訳:大森望
『20世紀SF 1 1940年代 星ねずみ』編:中村融山岸真 河出文庫 所収
ハリー・ライトはある朝目が覚めると、今日が水曜日であると言う実感を得るのだが、同時に昨日が月曜日だったと言う印象も得る。いったい火曜日はどうしてしまったのだろうと思いながら、外に出ると小さな男たちが大人数であれやこれやと作業をしていた…
解説に「ディックの作品に通じる」とあるとおり、悪夢的な世界。超現実を知ってしまう男の話しなのだけど、その超現実のセコセコとしたとした感じというか、人間臭さが笑える。人間社会の縮図のようでもある。そして超現実を知ってしまった主人公が感じるのが絶望なのではなくて、あきらめ感であるところがリアルでいい。
そしてこんな時間と空間の入り組んだ物語に「昨日は月曜だった」というタイトルをつけるスタージョンのセンスはすごい。
テリー・ギリアムが映像化しても可笑しくない感じ。そんな映像が自然と浮かんできた。