「骸列車」倉坂鬼一郎

この作品は元々『異形コレクションXVI「帰還」』に納められていた一編。倉坂鬼一郎の作品は初期作品をいくつかは読んでいたがこれは久しぶりに読んだ作品。しかし彼らしいオーソドックスな作風の怪奇小説で安心した。
ある男が何年かぶりに自分の生まれ故郷に帰ってくる。男はその故郷と母親にまつわる悪夢に悩まされている。男が自分の住んでいた家に帰ってきたことで、現実の世界にその夢が浸食しはじめる。と言った内容。
結局彼が観た母親の姿は、母親の強い念なのか、それとも主人公の男の罪の意識なのか? って感じですね。最後に彼が祠の近くで、見かける人の姿に自分自身を想像したって事は、やはり男の罪の意識が生み出した悪夢だって事でしょうか?
電車って密室的、どこへ行くかわからない感じなど、怪奇やミステリの舞台にもってこいなので、列車テーマのコーナーを作れたら入れるかも。